「きゃっ、え?」


触れていた私の手が掴まれ、そのまま恭介さんは立ち上がって会計を済まして店を出た
少し早歩きの恭介さんに、私は着いていくのが精一杯

ちょっと!リーチが違います!

私がぎゅっと手を握れば、気付いてくれたのか少しスピードが弱まった
それでも弱まっただけで、ずんずん歩いている

あれよあれよとタクシーに乗せられて、着いたのは高層マンション
あまりの豪華さに口を開けて呆気にとられてしまったけど恭介さんは気にせず中に入ってしまった
さっきから、なにも言わない

それでも、私の腕を掴んだ手は少し強引で優しい

カードでドアを開ければ、広い空間が広がっていた


「まだ、荷物片付いてないし何もないけど」


そう言って私をソファーに座らせた
予想通りそこは、恭介さんの家

私の知ってる恭介さんの家じゃない
最後に恭介さんの家に行ったのはニューヨークに行く前だ

そして、あの光景………
忘れることの無かった光景が思い出された


「紗也…………」


恭介さんは私の前に座って私の両手を握りしめた
祈るように私の手に唇を寄せた


ピリッと電流が流れる
柔らかい唇


「紗也…………抱きたい」


そう言うと、あっという間に唇を奪われた
息苦しいほどの激しいキス


「んん…………ん」


苦しくて逃げようとしても逃がしてくれない
頭をガッチリ固定されて私はいつの間にかソファーに押し倒されていた