「俺との事を考えてほしい
もちろん、婚約破棄に関しての慰謝料は俺が持つから」


その言葉に我に返った
さっから一体!


「恭介さん!」

「え?」


私の突然の大きな声に恭介さんは目を丸くした
あ、こんな表情も見たことがない
いや、今はそんなことよりも!


「あの、さっきから、結婚とか婚約って………」

「あー、…………紗也が結婚するって卓也から聞いたよ」


やっぱり、私?
誰と?卓也さん!
私は誰と結婚するんですかー!


「あ、あの、誰が誰と?」

「紗也が、なんとか部長と」


なんとか部長?部長?
原田部長かぁー!
優紀だな

そんな嘘を………


「私は原田部長とは結婚しません、そもそも付き合っても居ません」

「………え?」


そんな事に戸惑っている場合じゃない
ちゃんと、伝えたい

私だって、


「新しい恋を探すつもりでした」


恭介さんの表情が一気に曇る
さっきから見たことない恭介さんばかり
それが全部私がさせているんだと思うと、申し訳ないより嬉しさが勝ってしまう


「でも、出来るはずないですよね?」

「え?」


私はそっと、テーブルの上にある恭介さんの手に触れた
ピクッと一瞬動いたけど拒否はされなかった


「だって、私の心はずっと恭介さんを待ってたの
私に触れるのも恭介さんじゃないと嫌
私だって、恭介さんが、好きっっ…………」


感極まって泣いてしまった
心が限界だったんだ