「ほらっ!あの店だよ!」


優紀に連れられて店の中に入った


「……………っっ」

「…………紗也…………」


あぁ、私は彼に名前を呼ばれるだけで心が満たされるんだ
彼の姿を見ただけで気持ちが溢れてしまう


「恭介さん…………」


目の前で卓也さんと隣り合わせで座っていたのは間違いなく彼だった
会いたくて仕方なかった彼だ

自分から別れを告げた癖に、こんなにも未練がましい
情けない女………


「紗也…………勝手にごめんね
でも、ちゃんと話して
この1年二人とも感じたものがあるでしょ?」

「優紀…………」


本当に優紀は私を良くわかっている
どれだけ、私は彼女に救われただろう


「優紀、ありがとう」

「合コンはいつでもセッティングするからね!」

「は?何それ!俺、聞いてないからな!
紗也ちゃん!優紀はダメだよ」


ほら、やっぱり卓也さんに了解もらってない
こんな時でもいつも通りの二人が有難い


「二人ともありがとう」

「紗也………」
「紗也ちゃん……」

「恭介、二人でちゃんと話をしてお互い前に進めよ」


卓也さんは恭介さんにそう言うと「俺達は帰るよ、紗也ちゃん、ちゃんと話を聞いてやって」と少し辛そうだった

本当に私は大馬鹿者だ
優紀だけじゃなくて、卓也さんにもいっぱい心配かけたんだ