真っ赤になった彼女

ほんと、可愛い
たまらない

一目惚れなんて信じられなかった
でも、こんなにも気持ちが昂るなんて初めてだった


「私………仕事が楽しくて
元カレとも会う時間がなくて別れちゃって」

「今、彼氏いないんだ?良かったよ
まぁ、彼氏がいても諦めるつもりは無かったけど」

「いや、そうじゃなくて………
山野さんとも会う時間が………」

「当たり前だけど俺も仕事してるからね
会いたくなったら会いに行くよ」

「で、でも………」

「そんな事で君を諦めるなんて出来ないよ
何も知らないから色々知りたい
俺の事も知ってほしい」


必死だった
断られそうな雰囲気にわざと彼女の言葉を遮った
根負けしたのか、「お友だちから」とそう聞こえた

きっと、彼女からすればしつこい俺に仕方がなかったのだろう
今はそれでもいい

こんな歳で"友達から"なんて、体のいい断り文句の一つだろう
それでも、俺はこれからも彼女に会える権利を獲たんだ


「やった!ありがとう」


頬の緩みを隠せただろうか?
元木に見られたら一生からかわれそうだ



「連絡先聞いていい?」

「あ、はい」


俺のスマホには彼女の名前が入った
それだけで、スマホが宝物のようで、重くなった気がする


「急に家までは行かないよ
でも、近くまで行かせて
心配だから家に着いたら連絡して」


心配だったけど最初から家まで行って警戒されたくない
それに、彼女から連絡を貰えるなら………


彼女は…………紗也はきっと戸惑っていただろう

それが、俺と紗也との出会い