「こいつは俺の同期の山野恭介
お前、どうせ自己紹介とかしてないだろ?」

「あ、真山紗也です」

「こいつ無愛想なくせにモテるんだよ~」


なんて言いながら肩を組んできた
酔っ払いめ、と宥めることもなくされるがままにしていると

クスクスと笑う彼女
美人なのに笑うと幼くなる彼女に愛しさが募る



「うわー、紗也ちゃんって笑ったら可愛いね」

「え?」


元木に言われて、笑ってた顔がみるみるうちに恥ずかしそうに赤くなっていく姿がまた、たまらない


「うわー、恥ずかしそうにする姿もいいねぇ~」


俺の言葉を代弁するように元木に先に全部言われて出遅れた感が否めない
元木の空気もいつもより柔らかい


「優紀にこんな可愛い友達いるなら早く紹介してもらったら良かったよ」


そう言いながら「髪の毛茶色いね地毛?」と髪を撫でようとした手が見えた時には勝手に動いていた

パシンとその手を叩いていた



「「え?」

「初対面でセクハラか」


二人の驚いた顔
何より驚いたのは自分自身だ
その辺りは半ばパニック
自分の言動が信じられなかった
でも、何より嫌だった


彼女と握手を交わしたことも
臆面もなく可愛いと言える元木にも
触り心地の良さそうな茶色い髪に触れることも