「山野ー、今日合コンな」

「は?行かねぇよ」


昼休憩の時、声を掛けてきたのは同期の元木崇だった
元木は見た目は硬派に見えるがなかなか、軟派なやつだ
人懐っこい性格に知り合いも多い


「たまには良いだろ~運命の出会いがあるかもよ~」


ニタニタと笑う男に大きなため息が溢れた
何が運命だ


社会人になって7年の月日が経とうとしていた
29歳

世間的には結婚適齢期なのだろうか
実家に帰っても言われるのは彼女のこと

学生時代は少ないながらも何人かと付き合ったりしたけど、あまり長続きはしなかった
自分自身恋愛体質ではないのだろう


「彼女とは体の相性いい」とか「彼女とのセックス最高」なんて言う男子特有の話にも乗れない
相性のいい体とか、最高のセックスは経験したことがない
彼女とはそれなりの順序を踏んで体の関係はあっても、のめり込むほどの恋愛には程遠い

そんなこんなで、学生時代には何人かと付き合ったが社会人になってからは全くだ

悪友に言わせると「男としてどうなんだよ」なんて心配される始末


かれこれ、7年
恋愛にのめり込むよりは、がっつりと仕事にのめり込んでいた
そんな俺が今さら合コンになんて行ってどうする?

運命の出会い?
そんなもんする気もない
と言うより出来る気がしない

残念かはわからないが興味がないのだ
食指が動かないとはこういう事を言うのだろうか