声を掛けてきたのは山野さんで「山野~ちゃんと送っていけよ」と声が聞こえた

うわっ、送ってもらうなんて!
申し訳ないと思い、断ろうとしたら「少し歩きながら話さない?」と言われた

その雰囲気に何故だかダメだとは言えなくて頷いていた
他のみんなと別れて私と山野さんは二人並んで歩いた
こっち方面は私たち二人だったんだ


「私たちみんなと逆方向だったんですね」


そう言うと、山野さんは足を止めた
止まった山野さんに不思議に思いながら振り返った


「違うよ、俺もみんなと同じ方向」

「え?」

「真山さんともう少し話したかったんだ」

「え、」

「いや、違うな」


山野さんはガシガシと頭を掻いて真面目な瞳を向けてきた
ドキンと胸が高鳴る


「一目惚れなんだ、俺と付き合って欲しい」


心臓の音が聞こえるのではないだろうかと思うほどにドクドクと脈打つ

それと同時にキュンと可愛く胸が鳴った

そりゃそうでしょ
イケメンにそんな事言われたら
しかも、少し照れ臭そうになんて………


でも、だからって付き合うとかは別問題
一ヶ月前に忙しくて別れたばかりだ
今だってその状況は変わらない
私はいま、恋愛してる場合じゃない


「急にごめん、付き合って欲しいなんて
焦りすぎたな………
せめて、友達から」


慌てる様子が何だか可愛くて笑えてくる
クスクスと笑っていると「可愛い、な」なんて声が聞こえた