後は早かった
俺はすぐに指輪を買いに行って、彼女との約束を取り付けた


彼女との約束の日、同期がニューヨーク支社への転勤祝いと送別会をしてくれる事になった
彼女に伝えると別の日にしようかと言われたが、どうしても会いたいから次の日朝から会うことになった



「同期から初の部長だな!頼もしい!」


酔っ払い始めた同期がバンッと背中を叩いてくる
みんなから「おめでとう」と言われるのはむず痒くも素直に嬉しかった

少しいつもよりもお酒の量も多かったように思う
いつもよりもなんだかフワフワしていた
明日の朝の事を考えると緊張していたのかもしれない



「ずっと聞こうと思ってたけど、お前彼女いるよな?」

「あぁ」

「やっぱりなぁ、お前変わったもんな!彼女連れていくのか?」

「………プロポーズする」



そう言うと一気に場が盛り上がった
周りで乾杯する音が聞こえる

「ほら、山野も飲め!」そう言われて、自分のコップを煽る
俺はあまり酒が強くないからこの時にはソフトドリンクに変えていた
それでも、なんだか雰囲気も手伝って酔っていたと思う



「お前の彼女何歳?」

「26」

「6歳下かぁ、可愛い?美人?お前の彼女だから極上だろうけどな!」

「普段は美人だと思うけど、笑ったら可愛い」

「くーっ!羨ましい!会わせろ!」

「無理、他の男になんて見せたくない」

「お前、見掛けによらず独占欲強いな」

「紗也に限ってはそうだな
可愛くて仕方ない
俺の方が好きすぎる」



ここで、俺の記憶はなかった