「恭介、日本戻れんの?」

「あぁ、」

「そっか、あれから一年かぁ、早かったよな
金髪美女とはちゃんと切って来いよ!
日本帰って来ていきなり修羅場とかは止めてくれよー」

「そんな女いねぇよ」

「いやー、恭介なら一夜限りでも女は喜ぶだろ」


ニヤニヤ笑う悪友の卓也を睨み付ける
高校からの付き合いの卓也なら俺がそんな遊びをしない事はわかってる筈だ


「ねぇよ、一年はご無沙汰だよ」


素直に言ってやれば「それって、紗也ちゃん………」と言葉に出してからハッとして口をつぐんだ


一年振りに聞いた「紗也」の名前に柄にもなく心臓が暴れだす


「恭介、もう良いだろ?」

「え?」

「お前、なんで紗也ちゃんと別れたんだよ
あんなに好きだったじゃん
結婚だって考えてたんじゃないのか?」


別れたくなかったよ
今でも夢でありたいと思う
結婚するなら紗也しか考えられなかった
もし夢だったなら、結婚して今頃ニューヨークで一緒に暮らして
もしかしたら子供だって出来ているかもしれないなんて

タラレバをいつも考えてる


別れの理由か………
悪友である卓也にも話していない
紗也は卓也の彼女で親友でもある優紀ちゃんには言わなかったのだろうか



「別れの理由か………好きだったからかな……」

「え?」

「紗也が苦しんでる姿は……」

「紗也ちゃんにお前なんかしたの?」


俺はじっと、卓也を見た
卓也も優紀ちゃんにベタ惚れだ