「しないよ」

一体何に対してそうなるというのだ。

「本当に?」

「うん」

「そっか。……じゃあ、優希。目、つぶって?」

「何で?」

「いいから!早く!」

「わ、わかった」

若干美桜の気迫に押され、目をつぶった。

すると、ふわりと自分に何か柔らかいものが当たった。

驚いて目を開けると、目の前には、りんごみたいに真っ赤っかになった美桜がドアップでいた。

—キス、されてる?

この場面を理解するのに、数秒を要した。