美桜の横を通る一瞬だけ目があったような気がした。

本心を見抜かれたようにも、感じた。

「ッ…待って!」

待つつもりはない。

待ちたくもない。

「私、諦めないからっ!!絶対!」

その言葉を最後に扉が閉まった。

もうほとんどの生徒たちが下校したため、校舎の中はとても静かだ。

その静かさの中、1人階段を降りていく。

僕は鞄を持って校舎を出た。

外はどんよりとしていて、冷たい風が吹いていた。

ふと屋上を見上げると、もうそこには誰もいなかった。