雷王に愛された花

「遅くなってすまなかった。」

「いえ、私も入浴が済んだばっかりです。」

「そうか。疲れただろうが、少し話がしたい。時間をもらえるか?」

「はい。私もいくつか聞きたいことがありましたので。」

「俺からは謝罪だ、ミレイ。すまなかった。嘘ばかり伝えて驚かせただろう。それに政略結婚が決まって弱っている貴女を放置して国に帰って来てしまった。」

「はい。いなくなってしまった後はとても寂しくて。花嫁修業にも身が入らず辛かったです。」

「俺はロイ・フィリオ・クリス。クリスというのは親からもらった名前で、そう呼んで欲しかったんだ。
襲われて命からがら逃げて助けてくれた貴女は、立派な身分を持ちながら気さくで話しやすかった。
そんな貴女には王子だと知ったせいで堅苦しい話し方をしてほしくなかったんだ。
自分の勝手な気持ちで傷つけてすまなかった。でも騙そうとしたわけではない。それだけは分かってほしい。」

「そう聞けて良かったです。私は身分を告げるほどの相手ではないと距離を置かれたのかと思ってしまったんです。」

「国に急いで帰ったのは、貴女の政略結婚を阻止するためだ。私が国に戻り、王位を継いだら結婚ぐらい思い通りになるだろうと思った。
そうしたら貴女を迎えて守ることができると。」

「私はあなたが王子だと知らなかったので、誰と結婚するのも同じだと思いました。なのでユリンの薦めるままにこちらへ。」