雷王に愛された花

「失礼致します。遅くなってすみません。お茶をお持ちしました。」

「ありがとう、ユリン。」

「いえ。このくらいいくらでも致しますわ。それよりも、クリス様はジルベルト様について何か知っておられますか?」

「あぁ。あいつは社交界でも有名だ。若いキレイな女性を金目のもので釣って襲っている。最近じゃ、どの国の親もあいつには娘を近付けないようにしている。」

「そんな、、、じゃあ私は、、、もしかして、、、」

「あぁ。間違いない。この婚約はやめるべきだ。」

「それはきっと、いえ絶対無理でしょう。」

「あいつは処女狩り王などと言われる卑劣なやつだぞ!?そんなやつのところに結婚しに行ったらどんな目にあうか分かるだろう!?」

「ええ。分かっているわ。でもお義母様は本気で私を厄介払いしようとしている。きっと無理やりでも送り込まれてしまうわ。」

「ミレイ様、そんなふうに悲観的にならないでください。あなた様は美しいです。きっともう一度社交界に戻れば半年の間にもっといいお相手が見つかりますわ。」

「ユリン殿、それは認められないな。私もジルベルトと結婚するのは反対だが、社交界なんかで自分を安売りしてほしくはない。」

「クリス、ありがとう、心配してくれて。ユリンもそんなに泣かないで。半年あるんだからどうにか、精神的に強くならなくちゃね。」