カードゲームは、神殿で見習いの同僚の子らとこっそりささやかに楽しんでいた。寝る前に誰かの部屋に集まって、盛り上がって夜更かししたこともある。

あの時は、楽しかった。

楽しかった記憶を思い出しては、願望がポロッと口から出てしまう。

『……私も、カードゲームしたいな。庭師さんたちの夜会、行きたい』

『えっ!何言ってんの、ラヴィちゃん』

ファビオは目を丸くして驚いている。

けど、私は目の前の楽しみに引くことが出来なかった。

私はどうせ、私室から出るなと一人で寂しく過ごす羽目になるのだし。

『庭師さんの宿舎でやるんでしょ?ちょっとお邪魔しようかな』

『おいおい!夜会中は部屋から出るなって言われてんだろ?嫁入り前の貴族令嬢が夜に野郎の巣窟に来るなんざ、醜聞になるだろ!』

『夜会中だもの。誰も私の部屋に来ないよ。こっそりと行って帰ってくればバレないよ?』

『おまえなぁ……こっちも来られたって困るだろがい。おまえの分のごっつぉーないぞ?』

『……』

じゃあ、ごっつぉー……もとい、ご馳走を自分で持ってきたらいいんだね?