何故、こんなリスキーなことをしているのかというと……。

昼間の会場の設営で掃除や飾り付けを手伝っていた際に、ファビオとの間に持ち上がった話が原因だった。



『今日は俺たちも夜会だぜ。楽しみだなぁ。にひひひ』

『え?ファビオが夜会?何で?』



ファビオは公爵家の庭師見習い、平民だ。貴族ではないから夜会の出席は許されてないはず。

疑問に首を傾げていると、ファビオに『あほ』と言われる。



『お貴族サマの夜会に庭師が参加するワケないじゃんよ。俺たち庭師には庭師の夜会があるんだよ』

『庭師の夜会……』



……なんでも、公爵邸で夜会が行われる日には、夜会で振る舞われるお酒やご馳走が庭師さんらにも差し入れされるらしい。公爵様の粋な計らいだ。

なので、そのご馳走を肴に庭師さんらも宿舎の一室にみんなで集まって酒宴をするそうだ。なるほど、だから庭師の夜会。

『美味い酒飲みながらカードゲーム、楽しいこと間違いなしだろ?あー夜が楽しみ』

『い、いいなあ……』

『え、ラヴィおまえ、カードゲームできんの?』

『できるよ?知ってるよ?』