「はい!ランクルーザー様とマーガレットお姐さまはとても素敵でお似合いの二人です!」
この二人の仲は、もはや公然だ。聖騎士と筆頭聖女の恋愛、二人の仲睦まじさは羨望の的だ。
王太子殿下の婚姻を機に、ランクルーザー様は王太子殿下の近衛となり神殿を離れてしまったが、それでも空き時間を見つけては姐さまに会いに来るその姿は、もはや私たち見習いの憧れ。
二人が婚約するのも時間の問題と言われている。この国の聖女は婚姻も出産も許されている。『聖力』さえあれば、聖女を続けていられるのだ。
「あの武骨な兄上がねぇ……」
アルフォード様はそう呟いては複雑に苦笑いをしている。実弟からしたら、そんな兄の姿は想像つかないのか。
「まあ、兄上の話は置いといて。マナーも出来てるから、あとはダンスさえクリアしたらデビュタントも大丈夫だって母が話してたよ」
「でっ、デビュタントっ?!」
あまりの唐突な話に声が裏返った。寝耳に水の話だ。
……と、言いたいところだが。落ち着いて考えればわかること。
この国は、16歳が成人。16歳になれば、聖女見習いは『神託』を受け、貴族令嬢は社交界デビューをし、大人の仲間入りをする。



