秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない





「……ファビオと随分仲良しなんだね?」

「え?」



あれから直ぐに自室に戻ると、サルビア様の侍女の一人であるミモザさんが待っていた。

ミモザさんは子爵令嬢で、行儀見習いでこの公爵家にいる。私と歳が近いことから、サルビア様に命じられて私のお世話係をしてくれているのだ。

ミモザさんに着替えを手伝ってもらって、すぐに向かうと、公子様はすでに席について待っていて、すぐにお茶会が始まる。

お土産の高級そうなフィナンシェを頂いていると、公子様が突然そう呟いてきたのだった。

ファビオと仲が良いね、と。



何故、急にそんな話題を振ってくるのかわからず首を傾げたが、尋ねられたことには率直に答える。




「はい。ファビオとは歳も同じだし、一緒にいると楽しいし、良くしてもらってます」

「ふーん……」

「この間は、一緒に馬のブラッシングをしました」

「馬っ?……ふーん」

「あと、ファビオ、馬の扱いがすごく上手なんですよ!怒ってた馬をすぐに宥めて……」

「……」

あれ?と、違和感を覚える。

私が喋るにつれて、公子様の口数が少なくなっていき、とうとう無言となってしまった。