来訪した令嬢と、応接室でお茶をしている姿も見かけた。その度に、胸がギュッと締め付けられ、悲しい気持ちになる。
どの御方も、私より大人。成人前の私なんぞ、足元にも及ばない。
公子様ももう19歳という適齢期だ。そのうち、その教養もあり、美しく身分の高い令嬢の中から生涯の伴侶を決めることになるのだろう。
そう思うと、昔と変わらずアルフォード公子様を慕っている私にとっては、少し落ち込んでしまう。
アルフォード様が他の女性と婚姻してしまう。
落ち込み気分そのまま言葉が出ないでいたが……そこで、ファビオは驚く思わぬことを口にする。
「公子様、ああ見えて意外と男色だったりして?」
「へ?」
「そーゆー意味で婚約者を作らんのかもな?愛人はどっかの男、げへへへ……」
男色?こら!何言ってるの!
げへへって、何でそんな怪しく笑うの!
……と、反論しようとしたら、いつの間にか御本人が私らの前に現れて。
「……ファビオ?誰が男色だって?誰が」
不服そうな面持ちで、私らを見下ろしているのでありました。



