「今サロンに飾ってるラベンダーは、ミモザが乾燥させてサシェを作るってよー。ラベンダー安眠効果あるらしいからな。完成したら枕の下に入れるらしい」
「ラベンダーのサシェ?待って待って、私もやりたい!」
「わははは。ミモザに交渉しなー?」
そうしてファビオと笑いながら摘みたての花の仕分けていたところ、馬の蹄の音と共に馬車が停まる音がした。
外出されていたアルフォード公子様がお帰りになったようだ。
馬車から降りて、その姿を見せる。
降り立ったその上品な佇まいに、うっとりと見惚れてしまったのは言うまでもない。
聖騎士を目指していたというのに、体つきはお兄様や長子のランクルーザー様のように筋肉隆々で武骨ではなく、程よく逞しくてスラリとしている。
艶のある金糸のような髪が靡き、睫毛が長くて大きいアメジストなような瞳を持つ、女性のように美しい横顔は甘い雰囲気を放っていた。
まさに、絵本の中から出てきた王子様そのものだ。
もう、輝いているよう。
(ほんとに、素敵……)



