お庭のお仕事を手伝うのはもちろん、一緒に馬番さんのお手伝いもしたり。
『貴族令嬢が馬の世話出来んの?!』と驚かれた。神殿では聖騎士団の馬の世話をしたこともあるので全然平気なのだが、これは秘密。
私が神殿にいたことを知るのは、公爵夫妻と公子様のみ。使用人さんらは、何故伯爵令嬢の私がこのお屋敷にいるのかよくわかってないだろう。
でも、そんなことは誰にも追及されず。ファビオも出くわす度に『ラヴィ、今日の調子はどうだい!』と気さくに話しかけてくれるので、おかげで毎日楽しく過ごさせてもらっている。
そんなわけで、神殿を追放されてからの公爵領での生活。最初はどうなるのかと思っていたけど、案外楽しくやれていた。
……神殿からの連絡は、何もないけど。
お兄様からの連絡の文すらも来ない。それだけが気がかりだった。
「ラヴィ、今日はおまえさんと同じ名前のラベンダーも採ってきたぞぉー」
そう言って、ファビオが台車から降ろしてきたのは鮮やかな青紫色のラベンダーの束だった。
爽やかな香りがフワッと鼻を掠める。
「わぁ!」



