私の名前は、ラヴェンダー・タンザナイト。15歳。

只今向かいの席に座っている、ランティス・タンザナイト伯爵の10歳離れた妹である。

タンザナイト伯爵家は、治める領地を持たない中央貴族。聖なる力といわれる『聖力』を持って生まれる、代々神殿に仕える聖騎士の一族で、亡くなった父も聖騎士、母は神殿に属する聖女だった。

要するに、聖女のいる神殿と深いパイプのある特別な立ち位置にある家門だ。

両親が亡くなり、爵位を継いだランティスお兄様も神殿に属する聖騎士。現在は、聖騎士団の副団長を務めている。

私も、聖女見習いとして神殿に住み込み、下働きをしていた。大聖女様をはじめ、各聖女様らが円滑に祈りを捧げられるように。



……だが、先日。

その長年勤めた神殿から、私は追放されたのだった。

共に働く、聖女見習いの同僚への無差別毒殺未遂容疑で。



それは、ほんの数日前のこと。事件は何の前触れもなく、突然起こる。

私にとってはまさに『青天の霹靂』。



特に何の変わりもなかった一日を終えて、聖女見習いの同僚と夕食の席での出来事だった。