……それでも、たった一人の家族だ。状況が状況なだけに、こんなお兄様にでも置いていかれると思うと、多少は心細くなるものだ。



「では、ラヴィのことをよろしくお願いします。……ラヴィ、また様子を見に来る」



そう簡潔に言った後、お兄様は馬に乗ってあっさりと去ってしまった。

その後ろ姿を黙って見送る。

寂しい。けど、そんなことを言ってはダメだ。言ったところでどうにもならないし、お兄様を困らせるだけ。

冤罪であるが、神殿に追放を受けた以上、黙ってここにいるしかないのだ。

心細さを胸の奥に留めて噛み砕くために、俯いた。



馬に乗るお兄様の姿が小さくなり、見えなくなったところで、ルビネスタ公爵様が声を上げた。



「よぉーし!……それじゃあ早速、出かけるか!ラヴィ!」

「……へ?」

「まずは、裏のラベンダー畑でも見に行くか!で、その後は街に出て買い物して」

「えぇっ!」



公爵様の唐突な提案に、思わず首を傾げ、驚いてしまった。

だが、目の前の公爵様はニッコニコだ。



「鬱々と屋敷に閉じこもっていても、何だろ?パーっと遊んでこよう!な?」

ええっ!