「……なあ、ランティス」
「また。何でしょうか」
「……アルの【魅了】は、解けたと思うか?」
一連の話を聞いて、期待が膨らむが。
「……いえ。ご子息のみ、未だ【魅了】の気配が残る状態かと思われます。それが王太子の見解です」
「やはり……こっちに連れ戻してから、件の侯爵令嬢のことは徐々に何も言わなくなってきたから、大丈夫かと思ったんだけどなぁ」
「【魅了】が解ける際には、決まって起こるイベントがあるようですよ。王太子の言い分だと」
「……そうか」
ーー愚息の掛けられた【魅了】は、未だ解けていない。
期待はあっけなく崩れ、肩を落とす。
……いや、話をしっかり聞いていればわかることだ。
やらかしたアルフォードを強制的に領地に連れ帰った後に、件の出来事が起こったのだ。
側近の中でも、その時王都にいなかったアルフォードだけが、【魅了】を解いたラヴィとの面会が出来ていない。
アルフォードの【魅了】は……解けていない。
「ですが、それがラヴィの受け入れをルビネスタ公爵領に決めた理由でもあるんですよ。王太子たっての御希望で」
「王太子殿下が?」



