「魅了が解けた側近らは?」
「王太子がボヤかして説明しているので、問題ありません。王家としてトップシークレットを知る王太子と違って、【秘匿されし聖女】についての知識は皆無で想像もつかないでしょう」
「なら、情報は何処から漏れた?何故、神殿で毒殺騒ぎが起こる?」
「恐らく、ネズミが王宮にも神殿にも紛れ込んでいたかと。現在捜査中です。……真の毒殺犯も」
「真の……それは、やはり件の侯爵令嬢の手の者なのか?」
「それは、まだわかりません。なんせ、トルコバス侯爵家に繋がる手掛かりなど、微塵もない状態ですから」
「……」
腹の底から、深い深いため息が出る。
「現在は神殿の内部にも敵がいる状態です。聖女見習いの毒殺未遂騒ぎに関しては、ラヴィをあたかも犯人かのように扱い、神殿から追放し、カムフラージュしています」
「秘匿されし聖女……ラヴィを見えない敵から守るため、か」
ーー恐らく、敵は。
『何故、王太子の魅了が解けたのか?』と、混惑していると思われる。



