「ラヴィが王太子に手を翳した途端、軽く空気が弾け、王太子が倒れて気がついたら正気に戻っただぁ?……それ、よく反逆罪にならなかったな。お茶会乱入は不敬罪……」
「はい。王太子が倒れたのはほんの一瞬。だが、正気に戻るのも状況把握も早かったようで。……ラヴィたちが罪に問われることはなく、寧ろ」
「保護され、箝口令が布かれた、と」
「はい」
その後、日を重ねる毎に、側近の令息らも次々と正気に戻っていく。
同時に、侯爵令嬢は学園から忽然と姿を消していたのだった。
令息たちの正気に戻った後の処理がなかなか大変だったようだ。【魅了】の副作用はさておき、ルビネスタ公爵以上に頭を上げる時間よりも下げている時間と回数が多い事態であっただろう。
そして、学園の卒業パーティーにて、王太子は長年の婚約者、アゼリアとの婚姻を宣言し、卒業後間も無く結婚式を挙げる。
まだ、調べることはたくさんあるが、騒動は落ち着いた。……かのように思えた。
「……からの、神殿の無差別毒殺未遂事件か」
「はい。ですが……無差別ではありません」
「ラヴィを狙ったというのか」
「いえ。事件が起こったその時点では『ラヴィが魅了を解いた』と理解した者は、王太子周辺のほんのごく僅かの者たちでした。……この時点では」



