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王都を騒がせた侯爵令嬢の邪気契約による神殿襲撃事件、並びに陛下の御前にてトルコバス侯爵への断罪が終了した直後の話である。

愚息に「少しお時間頂けませんか」との申し出があり、当てがわれた客室に呼んだところ。

このアルフォードとかいう愚息は、自分を驚かせる話を持ってきた。



「父上。……自分がラヴィに求婚し、婚約しても何の問題もないですか」

「……」



急に何を言い出すのか。理解が追いつかなくて、一瞬言葉に詰まった。

ラヴィに求婚、婚約?!



「……え?そんな予定あるのか?」

「政略上の問題、派閥等。何の問題も無いかだけをお答え下さい」

「いや、そりゃ……ない。タンザナイト伯爵家は神殿とズブズブなだけだから。今の情勢では特に何も」

「そうですか。わかりました」



それだけを簡潔に答え、愚息は去っていく。

おい。おいおい。話はそれだけかよ。我が息子ながら連れないヤツだな。

けど……そうか。いつの間にかそんな展開になっていたのか。

ラヴィがウチに嫁入りかも、か。はは。

ならば、おっさんは何の口も出さず吉報を待つしかない。

上手くやれよ?息子。