ーーと。ここまでが、王太子エリシオンから聞いた話。
ここからの話は、今宵初めて耳にする話となる。
『一人の聖女見習い』
そこの名前は伏せられていたのだが、王太子殿下と神殿より『追放された見習いの令嬢を監護せよ』という命を受け、その人物の正体は身近な者であることがわかってしまった。
「その聖女見習いとやらが、ラヴィなのか」
「ええ。ですが、そこに至るまでの経過は長く……」
まず、王太子の【魅了】が解かれたその現場とは、王宮内の一室で行われた、王太子エリシオンとアゼリアのお茶会であった。
この時点では【魅了】に囚われたままの王太子は、このお茶会でアゼリアに婚約破棄を突き付けるつもりでいた様。
そんなヒリヒリとした空気の中にいた二人の前に現れたのは……なんと、アゼリアを慕う見習い聖女たち六人だった。
アゼリアが本日、婚約破棄をされるかもしれない。
そう聞いて、居ても立っても居られず、姉聖女の登城にくっついて王宮に忍び込み、二人のお茶会会場に乱入したのだ。
アゼリアと婚約破棄しないでほしい。どうか考え直すよう、王太子に直談判するために。
……だが、そこで事が起こった。



