秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない


だが、アゼリアの父であるガーネット公爵に多額の慰謝料を払い、謝り倒したのは事実で。

頭を上げるより、下げている時間の方があまりにも長かったので、ガーネット公爵には怒りよりも同情の視線を向けられていた。

そして、とある話を持ちかけられる。



『……娘から話は聞いている。彼らはどう見ても病的だと』



この、病的な状態の理由を共に調べてみないか?ーーと。



筆頭貴族のガーネット公爵家とルビネスタ公爵家が手を組み、この不可思議な異常事態の調査に乗り出す。

国王陛下に進言し、調査のため神殿の聖騎士団を動かそうとした。

……その矢先だった。



王太子エリシオンが正気に戻った。

今までの度重なる奇行は、禁術【魅了】のせいである、と。



急展開。青天の霹靂に、大人たちは揃って開いた口が塞がらなかったのは言うまでもない。

おかしくなってどうもならないと限界を感じて動き出そうとした途端、掌を返したような状況になるとは。

しかも、【魅了】?

【魅了】とは、その名の通り、人の心を惹きつけ虜にし思いのまま操れるという、人の精神に作用する古代魔術。

魔力ではなく、聖力とは対になる特殊な質の力、【邪力】なるものを使用するため、現在は使用が禁忌とされている。



そして、事の一部始終を見ていたアゼリアは、目にした現状を密かに打ち明けた。

一人の聖女見習いによって【魅了】が解かれであろう、と。