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「あぁ……どこで間違っちゃったのかなぁ……ちゃんとイベントこなしてきたし、好感度もMAXだったはずなのになぁ……あぁ、あぁ……」




王宮魔術師団管轄の硏究塔の地下牢は、ジメジメと湿っていて、土の匂いも漂う。

その一角に身を置いている、鉄格子の向こうの彼女は、特殊な魔力封じの足枷をつけたまま、寝台にだらしなく寝転がって譫言をずっと呟いているようだ。

それどころではないのか、その身なりはボロボロ。ろくに保清もしていないのか、美しいと言われた顔貌は流涎で汚れていて、絶世の美女の見る影もない。

「バッドエンドだ、バッドエンドだぁ……あぁ、ハーレムルートだなんて冒険したのが間違いだった……ホントはアル一筋だったのになぁ、あぁ……アルぅ……」

目の焦点も合っていない。……これはもう、精神崩壊しているようだ。



「……急激に膨大な浄化を受けた反動でしょう。目が覚めてから、ずっと意味のわからない譫言を。自我も崩壊しているかと」

ここまで案内してくれた魔術師団の者が、彼女を痛々しそうに見つめながら説明をしてくれる。