それを聞いたアゼリアは、侯爵令嬢を苦言を呈し、諌めた。
国の平和を支える神殿を侮辱するなんて、それでも貴族か、と。
ただでも聖女のいる神殿と侯爵令嬢のいる貴族派には溝が出来ているのに、この発言を許してしまうと、ますます溝が深くなる。
それを考慮しての苦言だろう。
アゼリアの判断は正しかったのだが……反発したアゼリアを『侯爵令嬢を責め立てた』と見なし激昂したのが、令嬢の傍に侍っていた王太子と側近らだ。
その一人であるアルフォードが、アゼリアを思い切り突き飛ばして地に着かせ、たまたま帯剣していたその剣を抜いたのだ。
騒ぎを聞きつけてやってきた複数の警備兵にすぐさま取り押さえられ、負傷者は出なかったものの……公爵令息が王太子の婚約者に危害を加えたという、事実が出来上がってしまったのだった。
愚息が令嬢に危害を加えた。
これは、もう無理だ。
我慢の限界を通り越したルビネスタ公爵は、すぐさまアルフォードを王都から自領に連れて帰り、領地の屋敷に謹慎という名の軟禁をする。
アルフォードは、謹慎のまま王都に戻ることはなく、自領に滞在のまま学園卒業を迎えることとなった。
「本っ当に、あん時は生きていて一番肝が冷えたわ。アルは暴れて手がつけらんねえわ、ガーネット公に散々謝り倒したわ……あぁーっ」
「本当に大変でしたね」
「また棒読みか、コラ」



