秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない


アルフォード様は天に立ち上る膨大な量の邪気を見上げていた。

「ローズの傍にいながら、ここまでの邪気を抱えていたことに気付かなかったなんて……」と、青ざめた顔をしながら、数歩後退する。

かつて自分が囚われていた【邪気】を、今ここで初めて認識した様子だ。



「何を言ってるの、アル?前にも言ったでしょ?これは、女神・アフロディーテの力でしょう?」

「違う!これは紛れもなく【邪気】だ!……ローズ!」

そう言って、アルフォード様は自分へと迫る邪気に向けて、剣を翳す。

「……相殺結界《シェラディスト》!」

白い聖力が漲った剣身を、横にして前に突き出す。……シェラディスト、襲ってきた邪気を跳ね返す守護結界だ。

術陣が浮かび上がると、直前で襲い掛かる邪気をバシン!と音を立てて跳ね返した。

邪気の急襲を阻止したのだった。



間一髪の危機回避に、ホッと胸を撫で下ろす。

だが、アルフォード様やミモザさんが必死に応戦しているにも関わらず、ローズマリー令嬢の【魅了】に囚われた男性らがまだ次々と襲い掛かってくる。

全然、減らない。数が。