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「どうして……?」

何故、公爵領にいるはずのアルフォード様が、この王都の大神殿にいるのか?

わからない。



「それはな?ラヴィちゃん。なんと、公子様は俺たちを追って、馬で夜通し王都まで駆けてきたからなのであーる。愛やな、愛」

「……わっ!」



突然耳元で囁かれて、体がビクッと縦に揺れた。

傍には、ニヤニヤと笑うファビオの顔が。突然現れた!



「ふ、ファビオ!びっくりさせないで!……いや、でも、なんで!どこから!」

「むふふふ。どこから?って?」

そう言って、ファビオは天井を指差す。

天井には大きな穴が空いていた。……恐らく、上は儀式の間。私と大聖女様が落ちてきた穴からアルフォード様とファビオはやって来た?

……だけども、助けを待っていたのは確かだが、まさかアルフォード様が来てくれるなんて。

お姿を拝見できて嬉しい。と、思ってしまうのは、この状況では不謹慎だろうか。



「……ラヴィ!」



私らに群がる男性たちを蹴散らして、アルフォード様はこっちにやってくる。

「大丈夫か?顔が……!服も泥だらけで!」