「なっ……」
何で、と声が出そうになった。
何故ならば、この地下室に私ら以外の人物がゾロゾロと姿を現していたからである。
どうやってここまで来たのか、ローズマリー令嬢の背後にある出入り口から、一人、また一人とゾロゾロと姿を現す。
全て、年頃の男性だった。それも、背が高く見目の良い男性ばかり。身なりからして、貴族令息や平民など様々だ。顔を見知った神官もいる。中には武器を持っている者もいた。
……だが、違和感を感じたのは言うまでもない。
次々と現れる男性全員が、光を失くして目が虚だ。なのに、皆が憎しみがこもった冷たい視線をこちらに向けている。……あの時のアルフォード様のように。
そして……極め付けは。現れる男性全ての周辺には、あの赤いてんとう虫がブンブンと飛び交っていた。
まさか、これは。ローズマリー令嬢の邪気に、【魅了】にかけられた人々なの?
王太子様やアルフォード様らだけではなく、他にもまだいたの?!
虚な目をした男性の集団は、ズラリとローズマリー令嬢を取り囲む。
その中心で、ローズマリー令嬢は高笑いをしていた。
「あははっ!私のことを慕ってくれる男子は他にもいるんだから!本当は、エリシオンやアルたち攻略対象と神殿に乗り込むんだけど?もうしょうがないから、彼らを連れてきちゃった!」
「はっ……」



