……だが、ここで安心するのはまだ早い。
「取り敢えず、ラスボス倒せば私はハッピーエンドになれるはず!……だから、ここで滅んでもらうわ!悪の大聖女!」
禍々しい邪気を周りに漂わせながら、ローズマリー令嬢は何故か偉そうに仁王立ちしていた。
また、大聖女様を悪と!決めつけと思い込みが激しく訂正できないローズマリー令嬢に、苛立ちが募る。
「だから、大聖女様は、神殿は貴女の言う悪に手を染めてません!言い掛かりはやめて下さい!」
「その通りです、ローズマリー嬢。一旦落ち着いて下さい。納得出来ないのならば、神殿が悪行を働いてないという証拠をお見せしますよ。帳簿も活動記録も」
「……そんなの見たってわかるわけがないでしょう!だって、この物語のエンディングは、悪の神殿を滅ぼすこと、悪の大聖女を倒すことなんだから!……だから、一緒に戦う攻略対象無しで、私一人でもこうして来たんじゃない!ハッピーエンドを迎えるために!」
その執念にギョッとした。
物語は破綻しているというのに、取り敢えず神殿に来て大聖女様を倒せばそれで良いという安易な考えにも。



