唸りを上げて畝る風の渦は、勢い鋭く大聖女様を目掛けて襲い掛かる。
大聖女様を攻撃するだなんて!
大聖女様を護らねばならない。そう思った私だったが、頭より先に体が動いていた。
大聖女様を攻撃から庇うため、無謀にも風渦の前に躍り出たのだ。
「ラヴィ!」
……私が盾になったところで、攻撃に当たりに行くようなもので、なんて無謀なことをしたのか。
と、目の前に迫り来る風渦の煽りを真正面から受けて、頭に過ったその時。
衝突直前で、突然。私の目の前に更に盾となるような結界陣がブゥゥンと音を立てて現れた。
それが壁となり、バシーン!と風渦を大きな音を響かせて跳ね返す。
「こ、これは……」
突然、魔力の結界陣が現れて、攻撃を防いでくれた?
「……わっ!」
と、同時に。私の右手に常に装着してあった赤い宝石のブレスレットがパン!と弾けた。
アゼリア様がくれたブレスレットが……?
「ラヴィ、それは魔封じのブレスレットですか……?」
大聖女様の呟きで、ハッと気付く。
公爵領へ発つ前に、アゼリア様から頂いたブレスレット。
お守りにと頂いたものだったが、まさかこんな効能があったなんて。
アゼリア様が護ってくださった……!



