「へっ……?」
「貴女が今ここで『邪気を纏わせて操っている状態』で登場した。ただ、それだけが真実です」
「……」
「貴女が今現在、纏っている邪気が何よりの証拠です。……貴女は、王太子殿下らに【魅了】を使い、彼らを籠絡した、と。好感度でも努力でも何でもありません」
やはり……そうなのだ。
ローズマリー令嬢は、王太子様や令息らと親密になった経緯を『私の努力』だの『好感度』だの言っていたが。
そんな距離を詰めて媚を売るだけで、殿方らがあんなに病的にローズマリー令嬢に侍るだろうか。
まるで人の心を失くしたかのように、令嬢に断罪を突き付け、己の婚約者を蔑ろにするのだろうか。
このような乱心、異常ともいえる行いをさせるなど……病的すぎて、努力でも好感度でも何でも無い。
「邪気による魔術の駆使は、この国では禁忌。ましてや、王族に【魅了】など重罪なのです。……物語云々の話ではありません、ローズマリー嬢。貴女がその邪気で王太子殿下を【魅了】した。貴女は、禁忌を犯した。ただ、それだけです」



