秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない


「何をしたのか?それはこっちのセリフですよ、トルコバス侯爵令嬢」

「はぁっ?何よ、ラスボスババア!」

大聖女様をババア呼ばわりとは、なんてことを!下品で、貴族どころか令嬢、女性としてあるまじき言葉使いだ。本当にマナーもへったくれもない。

私は内心憤慨し、また感情的に反論したくなったが、そこはさすがの大聖女様。表情ひとつ変えず、動じない。どれだけ捲し立てられ挑発されても、冷静だ。



「ローズマリー嬢……貴女こそ、王太子殿下らに何をしたのですか?」

「な、何って……」



冷静でありながらも、語気は強い。あれだけ捲し立てていたローズマリー令嬢も、流石に勢い殺された。



「ローズマリー嬢。殿下や子息らが貴女に懸想し始めたこと、その様子を見て、それは本当に好感度、『自分の努力』だとお思いですか?」

「そっ……そうよ!だって、ゲームと同じようにイベントこなして攻略して……」

「でもその割には、そのゲームとやらの物語通りには行かなかった。ラヴィが邪魔をしたとか仰いますが……ですが、そんな物語は、結局どうでもいいのです」