「はぁ?」
「トルコバス侯爵令嬢、貴女の騙る物語は、その道筋の通りになりましたでしょうか?……女神とやらの力を手に入れ、学園に入学し、子息らを籠絡したまでは貴女の騙る通りでしょう」
「籠絡とは失礼ね!それは、私の努力で好感度を……!」
「……ですが。その後はどうなりましたか?子息らは卒業パーティーで貴女を選びましたか?貴女と婚約しましたか?……貴女の望むような道筋には進んではいないのではないですか?」
「なっ……」
大聖女様の指摘にローズマリー令嬢は言葉を詰まらせている。……確かに。
ローズマリー令嬢は異質な力を手に入れ、侯爵の落胤として侯爵家に迎え入れられた。
学園に入学し、子息らはローズマリー令嬢に懸想した、が。
困難を乗り越えるだの、愛を育むだの言ってはいても……卒業パーティーでローズマリー令嬢を選んだ子息は、結局誰もいなかったのだ。
物語通り?なのか?
「そっ、それは……そこの女が邪魔したんでしょぉっ?!」
怒鳴り散らしたローズマリー令嬢に、バシッと指を差されたのは私だった。
怨念こもった目つきでこっちを睨んでくる。



