秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない



ローズマリー令嬢の妄想物語を、苦行に耐えるかのように黙って聞いていたのだが、最後の展開は納得いかずに、再び異議を唱えてしまった。

何もめでたしではない!神殿が悪とされて滅ぼされるなど!

「大神殿が私腹を肥やす?悪の限りを尽くす?王家へ謀反?!……何なんですか、そのでっち上げは!大神殿が、大聖女様がそんなことをするはずないでしょう!」

鼻息を荒くして反論をする。

だって、そんなものはありもしない言い掛かりだ。民からお金を巻き上げるとか、悪行とか、やってもいない、これからやることも絶対ない謀反だとか、そして悪として滅ぼされるだなんて!

そんな恐ろしいことを平気で言ってのける、このとんでもない根性の女に完全に頭にきた。

反論は止まらない。

「それに、その都合の良すぎる安い展開の物語は何ですか!何がお風呂の女神ですか、愛ですか!複数の令息にちやほやされて優越感に浸っているだけでしょう!」

「な、何よ、この『アフ愛』に文句あるの?!乙女ゲーム史上稀に見る大ヒット作品なのよ?!アルフォードのスチルがセクシー過ぎて、おかずにする女子もたくさんいたのよ!」

「大アリですよ!だいたい、愛の力で悪を倒すって何なんですか!史上稀に見るよくわからない物語の間違いじゃないですか!」

……許せない。

なんだかよくわからない物語が、この世界に横行するだなんて!