「王太子に土下座?誰だよ、そんなことを進言するヤツは」

とんでもない臣下が世の中にはいるんだなと思い、何となく質問する。



「そいつはな?おまえの邸をも彷徨いていただろう」

「……まさか、ファビオか?!まさかおまえの手の者だったとは」

「ああ、そうだ。そこは許せ。おまえとラヴィが心配だったからな」

「……」

ファビオ……ただの庭師見習いではない、うちの暗部ではない者が、公爵邸に入り込んでいることはわかっていた。

機密を探っている気配はなく、ただいるだけのようだとミモザから報告を受けていたから、野放しにはしていたけど。

まさか、王太子殿下の手の者だとは思わなかった。

……ラヴィにいろいろ絡んでは仲良くしていたのが、気に入らなかったが。

ラヴィも、ファビオといる時は楽しそうにしているし。

しかも何故か俺に『歳の差は気にしちゃいけませんぜ?公子様。後継をたくさん産んでもらうにも、若くて健康的なよく働く女の方がいいのですよー!』と、軽く告げては去って行く。

まるで『おまえの想いは知っている』と見抜かれた感があって警戒はしていた。