(どこにいるんだ……)
数ヶ月ぶりの王都の街並みを眺めては、懐かしむ暇もなくラヴィの居場所を模索する。
タンザナイト伯の邸?神殿?……警護を強化するのに、そんなわかりやすいところにはいないだろう。
他にも、この一件を主導しているガーネット公爵邸の可能性も考えたが、なんせ俺は娘のアゼリアに危害を加えている。快く迎え入れてくれるわけがない。
(ならば……)
この王都で一番安全な場所といえば……王族の住まいである、王城だ。
王城には、遠い縁戚関係でもあり、学友でもあるこの国の王太子殿下、エリシオンがいる。
エリシオンに会うために、情報収集の目的も込みで、王城に向けて馬を走らせた。
王城の真正面から参上するのではなく、王族の所縁の者や近しい者が使用する門へと向かう。王族の住まいである宮への出入り口といったところだ。在学中も、エリシオンのもとへ訪れる時は必ずこの門を使った。
先触れがないため、不審人物として追い返されるかもしれない。
……だが、それは杞憂だった。
「……アル!」



