理性などどこかへ吹き飛んでいき、二人きりの密室や人気のない場所で、何度も何度もその体を求め、愛し合っていたことも記憶にあった。

……今思えば、おかしな話だ。

俺と同じように、エリシオンや他の仲間にも同様に耳障りの良い言葉や愛を囁いては体を繋げていることを知っていたくせに。

目の前でローズが他の者と体を重ねているのを普通に見ていたり、或いは自分を含む複数の令息でローズ一人を貪るように抱いたこともあるのに、それを当たり前のように容認していたのだ。

ローズのやることは絶対だからそれは正しい、と。

……やってることはまるで娼婦のようで、今は思い出しただけで吐きそうだ。



エリシオンがローズを王太子妃にすると断言していても、何の違和感を持たずにいた。

自分や他の令息とも体を繋げていようが、それをローズが望んでいるから、それが正しい、と。



ローズが泣くから、その原因となった令嬢らを排除した。

ローズが『神殿は悪』と主張するから、嫌悪を向けた。

ローズを守るために……無抵抗のアゼリア相手に剣を抜いた。