……それが、【魅了】の力なのか。
何故、自分らが【魅了】されたのかはわからない。いつから?どこから?
確かに、そんなローズには好感を持っていた。近づきたいとも思った。父に『女のケツを追っかけて……』と、ドヤされても反論できないほど。
隙だらけだったと思う。まさかあのローズが、自分の心に寄り添ってくれたローズが自分らに危害を加えるとは思いもしない。
ローズは、俺の抱えている劣等感に気付いてくれて。
『アルはアルなんだから。そこまで頑張らなくていいんだよ?お兄さんになる必要はないよ?私はそのままのアルがいいの』
そう、励ましてくれた。
耳障りの良い言葉を囁かれては、それはとても心地の良いぬるま湯の中にいるようだった。
耳障りの良い言葉はやがて愛の囁きとなり、そして、いつしかローズの傍を離れられなくなる。
自分を受け入れてくれたローズは『女神』。
俺にとっての『女神』の言う事は、絶対。
そしてローズへの想いは段々と激化していき、『愛してる』の言葉だけではなく……温もりを、体を欲するようになる。
まるで、危険な薬物に侵されているかのように夢中になった。



