『何を悠長な事を仰いますか。やれアクセサリー、やれドレスやお茶だと見た目ばかり気にしているそこらの化粧ギトギトの令嬢より、なんぼもマシだとわかりませんか。私、ラヴィ様が公爵夫人になるのなら、傍にお仕えしたく存じます』

『いや、わかるよ。わかるけど……えっ?こ、公爵夫人?!話が飛躍……』

『ならば、せっかく見つけた優良物件、何としてもラヴィ様の心を繋ぎ止める努力をしてもらえませんか?公子様、ましてや貴殿は醜聞まみれ。嫁いでくれるなんていう賢い令嬢なんてもういらっしゃいません。貴殿の見目に惹かれる見栄っ張りな令嬢しかもう残ってませんよ』

『し、醜聞塗れ……』

はっきり言ってくれるな!ミモザが俺に辛辣なのは昔からだけど。

領地に連れ戻された時も、父と一緒になってチクチクと……。

しかし、ミモザの中では、ラヴィが俺の婚約者候補だというガセネタがどうしても頭から抜けないようだ。

『ラヴィ様に近付こうという努力はなさってますか?ヘタレという言葉をご存知ですか?ただ指を咥えて見ているだけではダメなのですよ!……あ、そう言えば、先日お菓子をお土産にお茶をなさっていたのは、良い心掛けだと思います。今後外出の際には必ず手土産をお持ちの上、ご帰還なさるようにして下さい。……今、街で流行りのフィナンシェがあるようで』

『……』