公爵様とのお話が一通り終わると、これから生活する居室へと案内される。
居室というか……一等の客室で、気が引けてしまった。神殿を追放された身なのに、客人扱いなのですか。
長年住んでいた神殿の部屋より、豪華で広い。
緊張したまま少ない荷物を解いていると、外出から戻られた公爵夫人が、わざわざ私の元に挨拶に来て下さった。
「ラヴィ、いらっしゃい!公爵領へようこそ!」
「お、奥様、お久しぶりです」
いつお会いしても、華やかで若々しい。細身で肌も綺麗だ。
笑顔が、公子様にそっくりだ。公子様は母親似なのだろう。瞳の色も同じ。
ルビネスタ公爵様の奥様、サルビア様とは面識がある。
奥様も、今は亡き私の両親と友人同士だったよう。確か、王都の学園での同級生だったとか。
それに、公爵様が社交シーズンに王都を訪れる時は、だいたい一緒にいらっしゃるので、お食事を共にしたこともある。
そして、今晩も共に晩餐を、と御招待された。
私をここまで送り届けたお兄様が、明朝王都へ戻るからだろう。



