だが、今は綺麗さっぱりと【魅了】の支配から解き放たれた自覚はある。

禁忌への追及の準備が出来ていることには驚いたが、邪魔しようだなんて。正気になっても信頼はどん底のようだ。

……だけれども。



「……俺も王都に行きます」

「は?何言ってんだおまえ?」

「この件は自分に関係のないことではありません。自分にも関わる権利があるかと。それに、ラヴィを……」

「あ?権利?……偉そうな事言いやがってあほか。誰のせいでこんなことになっちまってると思ってんだよ、おまえは」

見下ろす父の瞳がとても不機嫌なものになった。

その理由は……今までの俺の積み重ねてきた行動からだろうか。

そして、小言が始まる。

「今まで散々やらかしておいて、どの口が言うんだ。聖騎士になると意気込んで鍛錬に明け暮れてると思いきや、女に絆されて付け込まれやがって!【魅了】だが何だか知らねえが、おまえにも隙があったんだろうが!」

「そ、それは」

「言い訳なら聞かねえぞ?その上、女のケツ追っかけて言いなりになり、挙げ句の果てに未来の王妃に剣を振り回すとか、あり得ねえだろふざけんなよ!人がどれだけ謝罪行脚したと思ってんだよ!」

「……」