ともかく、そんな邪気を遇らった禁術の【魅了】を使用したローズは、それを解呪したラヴィの身も狙いかねない。

現場に居合わせた神殿の聖女見習いらに毒を盛るほどだ。報復を狙う可能性はある。

俺を【魅了】から救ったばかりに、ラヴィの身が一気に危険の渦中に落とされることになったのだ。

俺の、せいで……。



そして、ラヴィを巻き込んだ後悔に頭を抱える間もなく、父に今後の大事を突き付けられるのだ。



「俺は明朝、王都へ発つ」

「……え?王都へ?」

「国王陛下が、件のピンク頭とその父、トルコバス侯爵に王宮への登城命を言い渡した。……侯爵令嬢が禁忌の【魅了】を王族相手に使用した疑惑について、王太子殿下、ガーネット公爵と共に糾弾するつもりだ」

「き、糾弾?!」

「こちとら、糾弾材料は取り揃えてある。令嬢が魔術師団を出入りしていた形跡やら、神殿の毒殺犯という生きた証拠がなぁ?……で、王宮魔術師と神殿の筆頭神官に令嬢から邪気の反応の有無を判断させ、クロなら然るべき処罰を受けてもらう」

「いつの間に、そこまで……!」

ただ、ただ驚くしかない。自分の知らないところで話が進んでいたなんて。

何故自分には知らされなかったのか。

「おまえは微妙に【魅了】の支配下にあっただろうが。『ローズはそんなことしない!』なんて邪魔されちゃ敵わねえ」

「……」

そこは、否めない。