しかも、今度はラヴィが狙われる?
誰に?……というのは、聞くまでもない。
話の流れからして、ラヴィを狙うのはローズだ。自分に【魅了】を掛けたと言われるのも、学園の同級生であるローズマリー・トルコバス侯爵令嬢である、と。
茫然としながらも、脳内では自身なりの考察が巡る。
あれやこれや考えていると……父に、不思議そうにジッと見られていることに気がついた。
「……何か?」
「いや、あの。あのピンク頭のことは一切聞いてこないんだな。本当に【魅了】が解けたのか……」
「……」
聞きたいことはたくさんあるのだけれども、今はそれどころではないし。
ローズが自分を【魅了】した。
冷静になった今になって考えてみると、それはとても腑に落ちるのだ。
あの頃の自分は、彼女しか見えていなかった。彼女に過激な恋情を抱えていた。彼女の言うことが、全て正しいと思っていた。
今になれば、何故そんな風に思ったのかはわからず……あぁ、これが【魅了】なのかと妙に納得してしまったのだ。



