人の手によって仕組まれた出会いだったとは……だが、結果。エリシオンの目論み通り、俺に掛けられた【魅了】は解呪された。
そうなると、話の流れは大体わかる。
此度の夜会で記憶の途切れた部分。それは恐らく、ラヴィの手によって自身の【魅了】が解呪されている時のことだ。
と、同時に疑問も生じてくるのだった。
……何故、ラヴィが【魅了】を解呪する事が出来るのか。
そして、これもまた。想像を超える回答が返ってくるのだった。
「ラヴィに【浄化】の力があると?それは【秘匿されし聖女】ではありませんか……!」
ラヴィは、精霊王と四大元素の加護を受けて【祈り】と【治癒】の力を授かる、普通の聖女ではなかった。
邪気による国の危機に備えた特別な聖力、ギフトを授かった特別な存在だったのだ、彼女は。
「【浄化】の力があれば毒すら無効化になるから、被毒しても平気なんだとよ。毒を気にせず食事できるなんざ、羨ましい限りだ」
「……」
何を呑気なことを言っているのか、この父は。そんな冗談を言っている場合ではないだろう。



