奇跡的に被毒せずに助かったラヴィは、この混乱に乗じてルビネスタ公爵領へと逃がされた。



……ラヴィは、神殿を追い出されたわけではなかったのだ。

『友人の娘である、王都の神殿にいた聖女見習いをうちで預かることになった』

当時は父からそう簡潔に聞かされていた。

聖女見習いが神殿を追い出されるなど、余程の事をしたのかと遠慮して、ラヴィ本人にもその詳細を聞かないでいた。

まさか、そんな大変な事になっていたとは、誰が想像出来るだろう。



そして、ラヴィがこのルビネスタに来た理由は、もうひとつ。

それは……。



「え?……自分の、俺自身の【魅了】を解呪するため、ですか……?」

「そうだ。あのピンク頭親衛隊の中で、唯一おまえがラヴィとの面会を果たせていない。引き合わせたらもしやという、学友の身を案じた王太子御夫妻たっての案だ」

「……」

ピンク頭親衛隊?その言い方は如何なものか。

ではなく。ただ一人、解呪が出来ていない俺の事を案じたエリシオンによって、ラヴィはここに遣わされたのだという。

…‥複雑な気分ではある。

ラヴィとの出会い……いや再会に運命的なものを感じて、ここ最近励んでいた自分にとっては。